「原稿」
欧州宇宙機関(ESA)は、宇宙のはるか彼方に広がる暗黒物質と暗黒エネルギーの謎を研究するために設計された宇宙船の打ち上げを準備している。
ESAのユークリッド宇宙船の打ち上げは7月1日に予定されており、フロリダ州のケープカナベラル発射センターからスペースX社のファルコン9ロケットで打ち上げられる。
ユークリッドは、周回天文台として機能するように作られた宇宙望遠鏡である。科学者たちが宇宙の3D地図を作成するために使いたいと考えているデータを収集する。この宇宙船は、何十億もの銀河の活動を観測し、研究者が過去100億年の間に宇宙がどのように発展してきたかをより詳しく知るのに役立つと期待されている。
ユークリッド・ミッションの主な目的は、ダークエネルギーとダークマターの影響と活動を研究することである。なぜなら、この2つの物質はどちらも直接見たり感じたりすることができないからだ。
ダークエネルギーが宇宙の約68%を占め、ダークマターが約27%を占めていると天文学者は考えている、とアメリカの宇宙機関NASAは報告している。しかし、それ以上に、この2つの "ダーク "な要素についてはほとんど知られていない。
ダークエネルギーは正体不明のエネルギーの一種で、科学者たちは宇宙の膨張を助けていると考えている。暗黒物質もまた、宇宙の膨張に影響を与える物質である。天文学者は、銀河や銀河群に対する重力の影響が観測されていることから、暗黒物質が存在すると理論化している。
ESAの声明によれば、ユークリッドは宇宙が「どのように膨張し、宇宙の歴史の中でどのように構造が形成されてきたか」についてのデータを収集するために作られたという。この情報をもとに、科学者たちはダークエネルギー、ダークマター、重力の特性のいくつかを説明しようと試みるだろう、と声明は付け加えた。
ユークリッド宇宙船は高さ4.7メートル、周囲3.7メートル。モジュールと呼ばれる2つの主要部品が搭載されている。ひとつは望遠鏡と2つの科学機器で構成されるモジュール。もう1つには、衛星システム、電力コントローラー、データプロセッサーなどが入っている。
ユークリッドは地球から約150万キロ離れた軌道上の地点に移動する。その場所は第2ラグランジュ・ポイントと呼ばれている。ここは、NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やESAの周回天文台ガイアが運用されている場所だ。
ミッションリーダーによれば、ユークリッドは光学光線と近赤外線で画像を撮影する。この画像は、我々の天の川銀河を超えた宇宙の約3分の1をカバーする。
この画像の質は、地上の望遠鏡で撮影された他の画像よりも「少なくとも4倍シャープ」であることが期待される、と研究チームは述べている。これらの画像は、宇宙の新しい詳細な3Dマップを作成するために使用される。探査機の運用が10月に開始されれば、最初の画像はすぐに送り返される予定である。
ダークマターとダークエネルギーの研究に加え、ユークリッドは赤外線観測装置を使って何億もの銀河と星のデータを収集する。天文学者によれば、これによって多くの異なる宇宙天体と環境の化学的構造と運動挙動をより詳細に調べることができるようになるという。
NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡もまた、強力かつ高感度な赤外線技術に基づいている。これにより、この望遠鏡はこれまで観測できなかった宇宙の一部からデータを収集し、画像を生成することができるようになった。
Words in This Story
mission – n. a flight by an aircraft or spacecraft to perform a specific task
optical – adj. of or relating to light instead of other forms of energy
*This article has been edited and reprinted from VOA Learning English with permission from Voice of America (VOA) for use in English language materials.